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地域主義工務店だからできること

2007年8月、二条モデルハウスにおいて鼎談が行われました。(2007年9月4日付 京都新聞掲載)
「健全な森林づくりを進め、次世代に継承するために私たち府民ができること」をテーマに、森林保全の重要性や京都府内の森林の現状、課題について話し合いました。


郡嶌 孝 氏

NPO法人 京都府地球温暖化防止府民会議
(京都府地球温暖化防止活動推進センター理事長)
(同志社大学経済学部教授)

柏原康夫 氏

社団法人 京都モデルフォレスト協会理事長
(京都銀行頭取)


森本 均

社団法人 京都府建設業協会副会長
(潟fィー・エー・シー代表取締役社長)

緑豊かな京都の森林を次代に継承するために
全面積の4分の3(34万ヘクタール)が森林という京都府。今、過疎化や高齢化、林業の衰退などで、荒廃が進んでいる。そのような中、昨年11月、森林にかかわるさまざまな人たちが一緒になって、森林を核に地域の環境保全活動「モデルフォレスト運動」に取り組む国内初の組織「社団法人京都モデルフォレスト協会」が設立され、活動が始まった。
そこで今回、森林保全の重要性や京都府内の森林の現状、課題について3氏に語っていただいた。
荒廃が進む現状、保全する重要性
郡嶌 近年、問題となっている地球温暖化の防止には、二酸化炭素の吸収機能がある森林の役割が期待されています。しかし一方で、森林の荒廃が進み、森林がその役割を果たすことが難しくなってきているという課題があります。府域の75%が森林である京都府にとって、健全な森林づくりを進めることは大変、重要な事業であると思います。京都府では昨年、企業やさまざまな団体、ボランティア、府民、行政などが連携して、京都モデルフォレスト協会が設立され、活動に取り組まれていますが、まず、森林に対するイメージや役割についてどのようにお考えなのかお話しください。
柏原 日本では、森林というと自然林、木材として生産し経済活動をする人工林、寺社周辺に形成されている鎮守の森、こういったものがイメージとして浮かぶと思います。森林は経済活動として人間が活用するだけではなく、動植物の生育の場であり、水源の涵養(かんよう)という点からも非常に大事です。山からの水が川へ、海へと流れていき、魚など海の生物も養っている。大変大きな役割を森林が果たしているのです。しかし今、自然林、人工林とも荒廃が進んでいるのは深刻な問題です。
森本 日本は世界有数の木材輸入国です。外国産材の安定した供給量や価格安などにより、木材の流通が変化し、外国産材を大量に使うようになったことで国内の林業は衰退していきました。国産材のピークは1980年代だと思いますが、それ以降は価格も低迷し、結果的に放置林が拡大して森林本来の機能が低下しているのです。京都近郊の山もそのような危機的状況にあります。
利用の拡大図り、支援制度生かし
郡嶌 森林の保全・再生は緊急の課題だといえます。森林は二酸化炭素の吸収源としても大切ですから、森林整備は不可欠です。
柏原 林業を産業として成り立たせるために、国産材を積極的に使う政策が必要です。そのためのインフラとして、すごく立派なものはいりませんが、材木を効率的に搬出する林道やヘリポート、産地と消費地を結ぶ道路の整備も国策としてやるべきです。
森本 かつて里山は生活の一部でした。里山が身近に感じられ、森に親しみを持てるような取り組みが必要だと思います。森を歩くと自然に触れます。四季折々の変化は人の心に自ずと豊かな感性を育みます。同時にこの環境を大切にしなければならないことも素直に理解できます。気軽に歩けるような道の整備も大切だと考えます。
郡嶌 京都モデルフォレスト協会で取り組まれている内容について簡単にご紹介ください。
柏原 企業と協定を結び、地域の方々と協働して間伐など森の手入れや環境学習など、さまざまな活動をする取り組みが亀岡市や宇治田原町でスタートしたところです。今、高齢化問題などにより、山に手をかけられなくなっています。協会は、行政や地域の森林組合と手を組んで活動を活性化したいと思っています。木材は二酸化炭素を吸収し、再生産が可能な環境に優しい資源です。府民の皆さんも森や木に関心をもって一緒に考えていただくことが重要です。
森本 床柱として付加価値の高かった北山丸太も、現在ではあまり使われなくなっています。畳の部屋は人気がありますが、生活のスタイルの変化によって床の間を必要としなくなってきたからです。改めて京都産材の利用を高める工夫が必要です。また、府内産の木材を使いたくても供給が安定しないのが現実です。流通段階でのストックや乾燥木材の供給体制の整備など解決しなければならない課題があります。
郡嶌 利用を拡大するために府や金融機関の支援制度がつくられていますが。
森本 京都府が進めている「ウッドマイレージCO2認証制度」は、京都府産の木を使っていることで認定されます。この制度は地域の木を利用し、木材の輸送時に排出される二酸化炭素の量を減らそうというものです。
さらに、府内産木材を使って住宅を建てる場合、府の「緑の交付金制度」があって、工務店に補助金が交付されます。しかし施主には直接的なメリットが感じられないので、環境に配慮し社会的に貢献していることがわかりにくいと思います。そこで木材生産者、製材所、工務店なども頑張りエンドユーザーである施主が府内産木材の家に住みたいと思っていただく仕組みを考えていかないと需要は伸びません。
柏原 環境問題に取り組む企業向けには、融資金利や発行手数料を優遇する「京銀エコ・ローン」と「京銀エコ・私募債」を用意して、金融の側面から支援していますが、この6月から、「京都府産木材認証制度」に認定された事業者も、その対象に加えました。
木の存在を意識、環境へ認識高め
郡嶌 最後に、私たち府民と森林の関わり方についてお話ください。
森本 ご承知のように木には年輪があります。百年の木には百の年輪があるわけですが、この百の年輪を五十年でつくることはできないのです。自然界がもっているリズムや時間の流れによって恵みがもたらされ、私たちの生活が成り立っていることに気づいていただきたいと思います。
モデルフォレスト運動で森林整備という活動を通じて、森を身近に感じ、人間の生活とは切り離せない木の存在を改めて意識してほしいと思います。
柏原 これまでは環境への配慮に自分たちが参画しているという意識が薄かったと思います。環境に対する認識を高めるための啓発が重要です。京都モデルフォレスト協会の活動のなかで府民の皆さんの目に見えるよう、例えば、空地に植林をして鎮守の森のように大切に育てていけば地域の環境がよくなるといった事業も進めていきたいと考えます。
郡嶌 府民による鎮守の森作戦という形でできるといいかもしれませんね。
森本 京都市の町家には、坪庭など自然環境を取り入れた木の家に住まう知恵が受け継がれています。そのような知恵、文化を生かして現代のニーズに合ったデザインで住宅を提供し、PRを進めていく。その活動と、実際の山側の方々との取り組みがうまくドッキングできる接点を見つけていくことが、木材関係の事業者として取り組むべき課題だと考えています。
柏原 私は木のベッドに畳を敷き、その上に布団を敷いて寝ているのですが非常に安らぎが得られますね。やはり木の文化は感性、心の豊かさにつながるものだと思います。
郡嶌 京都府では「エコ京都21」という自主的に環境保全活動をしている企業を認定する制度もあります。京都府がそうした施策のフレームワークをつくり、京都モデルフォレスト協会やNPOが情報提供や企業と森林所有者のコーディネートをし、金融機関は融資などでサポートする。そういう形をつくりながら将来的には府民ぐるみで森林整備が進むような、全体的な構想が必要だと考えます。
木の家をつくることで、二酸化炭素を削減するという環境価値と木造文化という感性価値の二つの側面から、人にやさしく環境にもやさしい生活の質の向上を発信していきたいですね。

(京都府からのメッセージ)
環境にやさしい京都の木を使おう! 京都府知事 山田啓二

京都議定書採択から10年を迎えましたが、このままではCO2など温室効果ガス削減の目標達成が危ぶまれるなど地球温暖化対策は待ったなしの状況です。地球温暖化防止に大きな役割を果たしている森林も、手入れ不足が原因で荒廃が進んでいます。緑豊かな森林を次代に引き継いでいくためには、森林の恵みを受けている府民の皆さん一人ひとりが森林のことを考え、行動することが必要です。
京都府では、府民の皆さんが一緒になって京都の森林づくりを進める「京都モデルフォレスト運動」に取組んでいます。身近な森林で生産された木材を使うことも対策の一つです。木を使うことで、森林の手入れが進み、資源の循環が生まれることになります。
京都府では、ウッドマイレージCO2認証制度や緑の交付金制度で、環境にやさしい京都の木を使う取り組みを進めています。皆さんも、認証マークのある木材を使って家を建てるなど、京都の森林を守り育てる運動に参加してください。



 
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