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松田直子
株式会社 Hibana代表取締役。

2002年より薪く炭くKYOTO(しんくたんくきょうと)というNPOで森林バイオマスの普及啓発を中心に活動を行い、より多くの方に森林バイオマスの良さを伝え、広めていくために、2006年、森林バイオマスの利用促進を目的として株式会社 Hibanaを設立した。2010年には、「木質ペレット」を使った環境にやさしい暮らしの提案をする場として、「京都ペレット町家ヒノコ」をオープン。
森林バイオマスの良さを広め、火のある暮らしを提案し実現していくこと、そして、地域の資源を地域で利用する、循環型の社会をつくること。そのために、正確な情報やライフスタイルに合った使い方を提案し、「クリーンで新しく温かい」森林バイオマスの導入を支援している。
京都議定書が採択された地、また、伝統文化の根付く京都から、森林バイオマスを日本一楽しく扱い、情報を発信し、遊べる会社を目指して取り組んでいる。

 
 
■ vol.o1 佐原 勤
 
■ vol.o2 松田 直子
 
■ vol.o3 森 年弘
 
 

 

「環境問題」と「毎日の暮らし」を繋げる

 

森本 今日はヒノコさんにお邪魔しました。松田さんが株式会社ヒバナを立ち上げられて、
もう何年になりますか。

 

松田 5年になります。

 

森本 ようやく事業がカタチになってきましたね。そもそもヒノコを始めたきっかけは何だったのでしょう?

 

松田 ヒバナはもともとシンクタンク京都というNPOで、再生可能な森林資源の薪や炭などを燃料やエネルギーとして使うことをテーマに、4年間ボランティア活動しておりました延長線で、私と成田という二人で創業しました。一方ヒノコは、京都市から業務を委託されて、京都市民やその他の方に、木質ペレット(木くずを圧縮した燃料)やその背景にある木質バイオマスをPRする場所として、昨年5月にオープンしました。

 

森本 私も建築という事業に携わりながら、特に木造住宅なんかに取り組んでいくと、現状の木材の問題とか、山林の問題とか、林業の問題とかに突き当たりますので、ヒバナさんの社会的意義はすごくわかります。ヒバナさんは、「社会の低炭素化に向けた再生可能なエネルギーを使った生活」も、活動のテーマにされてるんですよね。

 

松田 木を使うことが環境にいいとか、それが山の活性化につながるとか、そこに注力して活動をさせてもらっていたんですけれど、今は、毎日の暮らしがどう森林バイオマスにつながっていけるかということに、より重点を置いて取り組んでいます。

 

森本 いわゆる環境問題を考えることも大切ですけれども、結局暮らしの中でそれをいかに実現できるか、つながってるかということが大切な部分なんですね。

 

松田 そうですね。私自身も今はなるべく薪とか炭とかあらゆるものを事務所やお店や自宅で使うようにしてます。自分が使うことで気づくことも多いので。

 

森本 松田さんも京町家に住んでおられるんですよね。

 

松田 ええ、そうなんです。ここも京町家ですが、自宅も京町家で、住みはじめてもう7年になります。自らの生活の中ではペレットストーブを使っていたり、炭は脱臭や炊飯などで、かなりいろいろなところで使っています。木のものもかなり多いと思います。

 

森本 環境問題に対する意識はあるけれど、日頃の生活っていう観点から見ると、それをすることによって楽しいとか、自分の幸せ感につながってないと、結局負担になってしまう気がしますね。

 

松田 木のものは触れて気持ちがいいですし、炭で料理したらおいしいし、楽しいとか美味しいとかとつながっていますね。今は身の回りが木のものばっかりなので、すごく気持ちがいいです。エネルギー利用の方は、ペレットストーブは日常的に使っているんですが、七輪とかは忙しいと使わなくなるので、自分の精神状態のバロメータにもなってますね。現代はなんとなく皆忙しすぎますね。

 

森本 ガスひねったらいいとか、水道ひねったらいいとか、電気のスイッチいれたらいいとかじゃなくひと手間かかかるでしょ。そのひと手間かかるところを楽しめないとね。

 

松田 楽しめる、もしくは精神的にも時間的にも余裕があるということが必要ですね。そういうところをどんな風に伝えていけるかなというのが課題です。多分DACさんの「木の住まい」というものをどう伝えていくか、ということにもつながってると思うんです。

 

森本 そうですね。もちろん工務店ですから、家を建てるための技術や素材も大切ではあるんですけど、やはり建ててしまった後の暮らしがどうなっていくか、もしくはどういう暮らしを提案できるかということも一つの大きな責任になってきているように思います。子供たちが成長する中で、手づくり感や自然に触れられる環境にいることが、子供たちの創造性につながってくると思います。先ほどもおっしゃったように、ひと手間かける、手間暇かけるというのが、子供たちがそれぞれオリジナルなものを創れることにつながっていてほしいと願っています。

 

火のある暮らしで取り戻す、本来の「時間の流れ」

 

松田 木もそうですし、火のある暮らしっていうのもいいですね。東北の震災があったことで価値観が変わってきて、少しずつ理解されてきている気がします。

 

森本 僕らが子供の頃はまだ五右衛門風呂で、お風呂をわかすのは子供の仕事だったんです。小学校3年生くらいになると、お風呂を薪で焚くわけです。それで、まずそんなに簡単に火がつかない。火がついて焚きはじめても、お風呂に入れる温度になるまでは少し時間がかかる。それで薪をくべていく時に火を見て、すごくいろいろなことを考えるんです。そういう場面が毎日当たり前のようにありました。今、そういう場面がないですよね。

 

松田 ほとんどないですね。

 

森本 私もお客様に薪ストーブを入れることをおススメするんです。それは単に暖かいとか、燃料がどうとかということではなくて、火のある暮らしというのはなんとなく時間もゆっくり過ぎるし、ホッとできる瞬間が一日の中にあるって、とてもいいんじゃないかと思うからなんです。

 

松田  火が見えてホッとしたり、家族の団らんとか、木の香りとか・・・なんでしょうね、人間になったというか。

 

森本 ところで、東北の震災の後で工務店仲間にいろいろ聞いてると、薪ストーブを入れてもらっていたところは、明かりになったし、暖がとれたし、調理できたし、それから雨水タンクを置いてもらっていたところは、臨時に水が使えたりしたようです。何かあった時には原始的な物の方が結構役に立つなという話をしてました。

 

松田 神戸でも阪神大震災以降、薪ストーブがすごく普及していたりして、大きな震災があった地域では薪ストーブが普及するんですよね。より良さがわかるというかね。震災はほんとに大変なことですけれども、大切なことをもう一度思い出せてくれるというか。

 

森本 たとえば、工業化社会の中で生産性っていうと、時間当たりにどれくらいものができるかとかになりますよね。でも木の年輪がひとつできるには1年かかるわけです。つまり自然界には動かせない時間の流れがあるわけですから、それを意識することは大切だと思うんです。だからまさに火のある生活っていうのは、何でも早く早くっていう生活にブレーキをかけてくれるような気がします。

 

松田 薪ストーブでも、薪の調達とかを日々考えなければいけないし。

 

森本 でも、ここの店には、薪とか炭にも沢山の種類があって、しかも調理器具や道具なんかもいろいろと楽しそうですよね。こんなのを使って料理したらおいしいものができそうですね(笑)

 

松田 便利なものからそうじゃないものまでいろいろあるんですが、選択肢が多い方がいいかなと思ってまして、七輪、火鉢とかキャンドルみたいなところからはじめられる方もいれば、具体的に暖房としてのストーブとか、イベントのためのものとか、それぞれのライフスタイルから選べるのがいいかなと思ってます。なるべくいろいろなものを体験していただくために、ほとんどのものをレンタルしています。

 

ペレットストーブに集まる注目

 

森本 以前に「豚のペレットグリル」をお借りしてイベントしましたけれども、楽しいですよね。ユニークだし。

 

松田 そうですね、時々、お友達を呼んでお家でパーティーとかの時に借りる方もいらっしゃいます。七輪も地蔵盆とか地域のお祭りで使いたいという方もいらっしゃいますし、薪でピザを焼く窯を借りる方もいらっしゃいます。最初はイベントからでも、「いいな」と思ってもらえたら暮らしの中へと。最終的には暮らしとどうつなげるかです。今これだけ分断された社会の中では、いきなり暮らしの中へは難しいのかなと思います。

 

森本 やっぱりみなさん、どうしても都市に集まって住みますから、隣との距離も近いし、火を使うっていうのはなかなかやりにくくなってきてますよね。

 

松田 薪とか炭は難しいとは思うんですが、ペレットストーブとかはマンションで使ってる方も増えてきています。ここにあるペレットキッチンなんかもほとんど煙も出ないので、都市の中ではペレットは大きな選択肢なのかなと思います。一方農山村では、薪を直接燃やしたりする方が効率がいいですね。それぞれ状況に応じて選んでいただけます。
ほんとは私も町家で薪ストーブを入れたかったんですけど、近隣との関係を考えると無理なので、ペレットストーブだったら施工も簡単なので、貸家でもマンションでも可能性が広がります。

 

森本 なるほどね。

 

松田 昨年6月に「森の力京都」というペレット工場もできたので、京都の間伐材でペレットをつくるというのが実現できるようになってきました。

 

森本 そうですね。うちも会社で一台ペレットストーブを入れてるんですけど、使ってみると、1回ペレットを入れると一日中燃えてくれてますね。臭いもしませんし、危ない感じもないし、会社の中では使いやすいですね。

 

松田 お店とか事務所とかもいいですし、公共施設でも現在11カ所に入ってるんです。薪ストーブに憧れてるけど、現実的には難しいなという方にも使っていただいてます。

 

森本 ちょっと高いかなっていうのはありますけどね(笑)

 

松田 もうちょっと普及すると、下がってくるのかなと思います。

 

森本 そうですね。

 

松田 昨年、京都市内で助成金を入れてモニターでペレットストーブを使っている方を調査したんですが、ランニングコストは「高くなった」という方と「現状維持」という方と「下がった」という方と、ほぼ1/3ずつに別れました。全国調査でも同じ結果が出てるので、初期投資は高いですが、その後下がっていく可能性があります。今は100くらいの市町村で助成金が出ます。

 

一人ずつ、一本ずつ、一歩ずつ

森本 少し話は変わりますけど、低炭素社会を目指して、森林の経済性も考えて当社では燻煙熱処理木材を使いはじめています。燻煙熱処理木材は、CO2の発生を抑える乾燥ができて、なおかつ木材そのものも素性がよくなるっていうのかな、扱いやすい木材になって、なおかつ強度も保たれます。6月にようやく「京エコハウス」というモデルハウスができましたが松田さんにも一度見に来ていただきましたね。

松田 燻煙熱処理の施設を竣工式の時に見せていただきました。前から言われてきたことですが、実際に取り組みをされてるところはほとんどなくて、すごく先進的なことだと思いました。まわりからの反響はいかがですか。

森本 木材というのはもともと生きている生材ですから、一本一本違う条件で成長しているので、それぞれ違うんですね。自然のものをできるだけ自然に近い形で使おうとするとすべて個性があります。木材も同じ窯の中に入れたって同じようにできるわけではないし、個性というものを全体として理解して使っていくということがないとだめです。人間自身が生きてるわけですから、「生きる」ということを考えるとやっぱりひとつひとつ個性を認めて使っていくかなんですよ。そういう意味で燻煙というものも、自然のものを自然のままに活かして使うひとつの方法かなと思っています。ですから手刻みとか、手づくりとかいうものに、どうしてもつながっていくんですよ。

 

松田 つながりますねえ。その理念が家づくりにつながっていくんでしょうねえ。

 

森本 だから木の家づくりにあらためて取り組み始めた時から、素材を活かしたいという想いがあって、さらに手刻みとかということを頑固にやってきて、やっとそれらがつながってきたかなと思います。山林があって、原木があって、原木から製材されて、燻煙があって、そして手刻みで家が建つという、一気通貫で一本一本の木を見極めるというところにね、つながってきたかなあと思ってるんです。

 

松田 はい。

 

森本 反響というところでは、ヒノコさんの活動と同じで、これからです。少しずつ、支持者や理解者を増やしていこうと思います。

 

松田 そうですね。理解してくださったり、ファンの方を少しずつ増やすことですよね。燻煙熱処理だけを見ると、CO2削減だけなんですけど、もうちょっと背景にある大きなことも含めて、どうお伝えしていけるかというところですね。

 

森本 そうですね。なんとかそういうことにつながっていきたいなと思います。松田さんもこういう活動が広がって理解者が増えていって・・・

 

松田 そうですね。理解者を増やしていけるように、運動しつつやっていきたいなと思っています。

 

森本 今後ともよろしくお願いします。

 

松田 はい、よろしくお願いします。

 
 
 
   
 
       

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